WWII German Navy ”Kriegsmarine" U-boat jacket
ドイツ国防軍の海軍、”Kriegsmarine" の潜水艦U-boat乗組員用の冬用ジャケット。
かねてよりミリタリアコレクターのあいだでは「U-boat jacket」と呼ばれたレザージャケット。
これは通称であり、広く一般的に呼ばれている名称であると言えます。
この革製の冬用ジャケットは、上下でセットされる仕様であり(もちろんそれぞれ単体で着用もされていました)
使用されているレザーは、シープスキンやケープスキン さらに牛革製のものも存在していました。
各国(主に米独)共通するようなディテールを有しており、狭い潜水艦の艦内での作業性や運動性が考慮された形状が特徴です。
兵下士官に着用されるジャケットはスタンドカラー、シングルブレストが比較的多い印象です。
このスタンドカラーのジャケット以外にも、有名なところではダブルブレストのレザージャケット(コートのように着丈が長くなります)も有名です。
兵下士官用としましたが、将校のシングルブレストジャケットの着用も見られ、逆に兵下士官のダブルブレストジャケットの着用も散見されることから、厳密に階級で着用するタイプが分かれていた訳ではないと思われます。
さらにレザーのカラーはブラックカラーとグレーカラーが存在し、戦争初期にはブラックカラーが多くみられる印象がありますが、これについても両タイプ混在していたものと思われます。
勤務時には両肩に一般的なドイツ軍被服同様に階級章が取り付けられていました。
襟に近い部分に金属ボタン、肩に専用のタブを縫い付け階級章を通す形で固定していたと思われます。これも厳密でなかったようで、これらのタブが取り付けられていない個体や取り外した縫い痕の残る個体もあります。
使用されるボタンは戦後に交換された個体が多く、当時のオリジナルが付属しているジャケットは少ないのですが、アンカーのマークがつく金属ボタン、平型のベークライトボタンがありました。
一部の武装親衛隊装甲車両搭乗員がこのジャケットを使用して例がありますが、それらにはフィールドグレーの金属ボタンが取り付けられたものもあります。
ブラックカラー、スタンドカラー、シングルブレストのU-boatジャケット。
使用されるレザーはシープスキン。
背面はシンプルな形状、引っかかることのないことを考慮されたと思われます。
スタンドカラーの襟にはフックが取り付けれています。
別個体のジャケット。
柔らかなケープスキン、ブラックフィニッシュ。
ボタンは戦後に交換されたと思われる平型のボタン。
こちらも別の個体。
交換されたと思われる大型の平型ボタンが特徴的です。
さらに別の個体。
こちらは武装親衛隊(WAFFEN SS)が使用したとされるフィールドグレーの金属ボタンが取り付けられています。
袖にはアジャスターがついています。形状は剣型。
アジャスターが取り外された例
袖の内部。
風の侵入を防ぐためゴムが内蔵されギャザーがあるライニングの袖口。
ライニングはフィールドグレーやブラックのウール製です。袖もウール製のものやコットン製のものも存在しました。
特徴的なのはハンガーループです。
ライニング両脇の部分にレザー製やレーヨン製のハンガーループが取り付けられています。
このディテールはジャケットを裏返し折り畳み、複数枚をまとめてハンガーに引っ掛けることにより狭い潜水艦の艦内スペースを有効に活用するためのディテールと思われます。
レザー製のハンガーループ
両側の脇部分に取り付けられます。
ラベルと内ポケット
ラベルは襟下に取り付けられますが、別の形状のラベルも存在するようです。
サイズや生産メーカーなどが表記されます。
また、サイズラベルが独立する仕様もあります。
内ポケットの形状。
グレーカラーのモデル、アンカーマークのある専用ボタン。
レザーは牛革製。
年間にあまりバイイングできないオリジナルのU-boat jacketですが、また入荷しましたら詳細を更新して掲載したいと思います。